「KAWAZOE-ARCHITECTS Official Blog|建築に込める思想と日々」

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都市の新たな魅力:KAGAWA Christmas Market 2025

KAGAWA Christmas Market 2025 ~香川クリスマスマーケット~
# 都市の祝祭と建築確認:香川クリスマスマーケット、仮設空間への挑戦

香川の冬に新たな光を灯す「KAGAWA Christmas Market 2025 ~香川クリスマスマーケット~」が、この冬、初開催を迎える。その中心を彩る「クリスマスヒュッテ」群は、単なる商業施設ではない。あなぶきアリーナ香川の多目的広場に展開されるこの祝祭空間の実現には、仮設建築における複雑な法規と向き合う、見えない建築確認のプロセスが存在した。私たちは、この都市の新たな魅力を創出するイベントに対し、その根幹を支える申請と監理の面から深く関与したのである。

都市空間における仮設の意義と現実

一時的な建築物は、都市に非日常の風景をもたらし、人々の活動を活性化する。KAGAWA Christmas Market 2025におけるクリスマスヒュッテもまた、その役割を担う。しかし、これらのヒュッテはドイツから輸入された既製品であり、その配置計画なども輸入会社主導で進められた。私たちの役割は、デザイン創造そのものよりも、SANAA設計のあなぶきアリーナ香川という大規模公共建築物を背景に、多目的広場にこれらの仮設構造物を安全かつ合法的に設置するための「仮設許可適用」に基づく建築確認申請と、その後の適正な監理にあった。このプロジェクトは、香川オフィススタジオ高松が地域と密接に関わる中で得た知見が活かされた事例である。

法規の制約下での機能と安全の確保

仮設建築のプロジェクトにおいて、機能性とデザインは不可欠だが、それ以上に重視されるのは安全性と法規遵守である。特に、不特定多数の来場者が訪れる多目的広場に設置されるクリスマスヒュッテ群は、その一時性ゆえに「仮設許可適用」が求められ、通常の建築物とは異なる、しかし決して簡易ではない厳格な建築確認申請が必須となる。私たちは、輸入されたヒュッテの構造や材料、そして配置計画を詳細に検証し、風荷重、積載荷重、防火性能、避難経路の確保など、多岐にわたる項目について詳細な検討を重ねた。建築基準法は、恒久建築物を前提としたものが多く、仮設建築への適用には柔軟な解釈と、それを裏付ける技術的根拠が常に問われる。

監理業務に求められる専門性と粘り強さ

申請段階での精緻な図書作成はもちろん、施工(設置)段階における監理業務もまた、極めて重要であった。部材の搬入から組み立て、設営後の安全確認に至るまで、私たちは現場に足を運び、図面通りに、そして法規に則って適切に設営されているかを厳しくチェックした。突発的な問題への対応や、関係機関との調整は日常茶飯事であり、その都度、安全基準を満たしつつプロジェクトを円滑に進めるための解決策を模索した。この困難なプロセスを乗り越え、無事にマーケット開催へと導いた経験は、私たちの建築プロセスにおける貴重な一歩となった。詳細な苦労と解決の道のりについては、スタッフブログの特別記事にて詳しく解説している。

KAGAWA Christmas Market 2025のクリスマスヒュッテ群は、単なる異国情緒溢れる店舗ではない。それは、デザインと法規、そしてイベントを支える建築確認という、見えない努力の結晶である。私たちの建築哲学は、常に制約の中にこそ、真の創造性が宿ると信じている。この祝祭の空間が、多くの人々に喜びをもたらすと同時に、その背景にある建築の奥深さを感じ取るきっかけとなることを願う。未来の都市空間における、仮設建築の可能性は、私たちの取り組みによって、さらにその領域を広げるであろう。