壁や窓は、本来“内と外”を区切るものです。
しかし、建築家の視点では、その境界を“曖昧にする”ことで空間の豊かさが生まれることもあります。
完全に閉じることでも、完全に開くことでもなく、
内と外が“にじみあう”ような場所をつくる──
それが、私たちが追い求めている建築のあり方です。
境界線をなくす工夫
- 軒下空間や縁側で“屋内と屋外の中間領域”をつくる
- 大開口の引き戸で、室内と庭を一体化
- 内外で連続する素材(たとえば床材)を使うことで視覚的な境界をなくす
境界が曖昧だからこそ、奥行きが生まれる
境界がはっきりしすぎると、空間は小さく見えます。
しかし、半屋外・中間領域・視覚的抜けを用いることで、
視覚的にも心理的にも“空間の奥行き”が広がるのです。
- リビングの先に見える中庭が、空間の延長になる
- パーゴラや軒が、屋内に近い屋外空間を生む
- 夜は屋外の照明が室内の一部のように感じられる
心地よさは、曖昧な場所から生まれる
人間にとって心地よい場所は、完全に囲われた空間だけではありません。
少し開いていて、風が抜け、光が揺れ、自然を感じられる──
そんな“半分外のような場所”が、日常をやさしく支えてくれます。
建築家が設計する“あいまいさ”
KAWAZOE-ARCHITECTSでは、
空間を分断するのではなく、“つなぐための境界”を設計します。
視線、風、素材、光…
それぞれが屋内外をまたぐように設計されていることが、
空間に奥行きと深みをもたらすと信じているからです。